人気店レビューを見ていると、同じ店に「人生最高の店」と「二度と行かない」が並んで付いていることがある。星評価の分布を見ると、5点と1点が同時に集中し、3点はほとんどない。消費者の立場からすると戸惑ってしまう。
こうした店はよく「好き嫌いが分かれる店」と呼ばれる。では、本当に避けるべき店なのだろうか。ソウル・京畿の81,679店について、レビュアー別の星評価標準偏差を全数分析し、意見が分かれる店の実像をデータでのぞいてみた。
「満場一致はつまらない」 — 好き嫌いが分かれる店の規模
分析には、レビュアー信頼度の重み(credibility)を適用した加重標準偏差(σ)を用いた。Goldレビュアー(レビュー50件以上、平均星評価2.5〜4.2)に高い重みを与えて算出した合意度指標だ。σが1.35を超えると、レビュアー間の意見差が明確な「好き嫌いが分かれる店」に分類される。
* 加重標準偏差(σ): 一般的な標準偏差と異なり、すべてのレビュアーの星評価を同じようには扱わない。レビュー経験が豊富で、普段からバランスの取れた評価をするレビュアー(高いcredibility)により大きな重みを与えて偏差を算出する。極端に高い、または低い平均星評価を持つレビュアーは重みが低くなり、ノイズを除いて「本当の意見の違い」だけを捉える指標だ。
81,679店のうち、σが1.35を超える店は15,935店だった。全体の19.5%、つまり5店に1店が好き嫌いの分かれる店という計算になる。一方、σが1.0未満の合意型の店は34,853店(42.7%)、1.0〜1.35のやや意見が分かれる区間は18,281店(22.4%)だった。
注目すべきなのは、σが高くなるほど加重ポジティブ率(WPR)が一貫して下がる点だ。σ 0.0〜0.5区間の平均WPRは99.0%だが、1.35〜1.5区間では54.9%、2.0以上では50.2%まで落ちる。意見が分かれるほど人気店判定が難しくなるのは自然な現象だ。
* 加重ポジティブ率(WPR, Weighted Positive Rate): 4点以上を付けたレビュアーの重みの合計を、全体の重みの合計で割った比率。単純なポジティブ率と異なり、経験が豊富で識別力のあるレビュアーの好意的評価により大きな比重を置く。75%以上なら「人気店」、50%以上なら「悪くない」、30%以上なら「普通」、それ未満なら「注意」と判定する。
しかし、σ 1.35以上の区間でも平均WPRは50%を上回った。好き嫌いが分かれる店だからといって、味が悪いわけではないという意味だ。意見が分かれることと、味が良くないことは別問題であることが分かった。
同じ店で5点と1点が同時に出る
好き嫌いの分かれ方の実態をより鮮明に見るため、「人気店」と判定された店だけを別に抽出し、Goldレビュアーの星評価分布を比較した。合意された人気店(σ < 1.0)と、好き嫌いが分かれる人気店(σ > 1.35)の差は明確だった。
合意された人気店でのGoldレビュアーの5点比率は52.6%、好き嫌いが分かれる人気店では49.5%だった。最高点の比率はほぼ同じということだ。ところが、1点比率は合意された人気店の0.4%に対し、好き嫌いが分かれる人気店では19.8%だった。約50倍の差である。
さらに注目すべきなのは、中間地帯の不在だ。好き嫌いが分かれる人気店では、Goldレビュアーの3点比率はわずか4.7%にすぎなかった。合意された人気店の11.4%と比べると半分以下だ。「良い」か「悪い」かで、中間がないことが、好き嫌いの分かれ方の本質的な特徴として表れた。
好き嫌いが分かれる = 個性の証拠
どんな種類の料理が最も意見が分かれるのだろうか。業種別の好き嫌いが分かれる比率を分析した結果、中華(31.0%)が最も高かった。海鮮/刺身(30.4%)、コプチャン/マクチャン(30.4%)、肉料理/焼肉(29.8%)が続いた。これらは共通して、食材の鮮度、火の香りの強さ、味付けの濃さなど、好みが入り込む余地の大きい業種である。
一方、カフェ(22.2%)や製菓/ベーカリー(22.0%)は比較的、好き嫌いが分かれる比率が低かった。味のばらつきよりも雰囲気やビジュアルが評価に影響する業種では、意見がそれほど割れないのだ。
好き嫌いが分かれる店に付くタグにも特徴がある。LLMベースのセマンティック分析で抽出した39個のタグのうち、好き嫌いが分かれる店で有意に多く現れるタグは、「騒がしい」(2.5% vs 1.6%)、「会食/団体」(10.0% vs 7.7%)、「広い/団体席」(39.3% vs 32.2%)だった。
逆に、好き嫌いが分かれる店で著しく少ないタグは、「ヒップ/感性系」(15.1% vs 24.6%)、「インスタ映え感性」(7.0% vs 11.6%)、「居心地がよい」(5.0% vs 9.5%)、「静か」(6.8% vs 10.5%)だった。
「個性がはっきりした製品は、消費者間の評価分散が大きくなるが、その分散自体が当該製品の自己表現的価値を示している。」
— "Self-Expression Cues in Product Rating Distributions", Journal of Consumer Research, Stanford GSB (2017)これはスタンフォード経営大学院の研究結果と正確に一致するパターンだ。好き嫌いが分かれる人気店は、Instagramに載せたくなるような空間ではなく、静かでも居心地がよいわけでもない。その代わり、騒がしく、広く、団体で行く場所である。個性がはっきりしているからこそ意見が分かれるのであって、味が悪いから分かれるのではないのだ。
好き嫌いが分かれることは操作ではない
意見が極端に割れると、操作を疑いたくなる。「競合店が1点テロをしたのではないか」と思うのは自然なことだ。しかし、データは別の話をしていた。
好き嫌いが分かれる人気店に1点を付けたレビュアー5,181人のプロフィールを全数分析した。39.4%がGoldレビュアーだった。レビュー50件以上、平均星評価2.5〜4.2 — 経験が豊富で、普段からバランスの取れた評価をする人たちが1点を付けていたのだ。一方、テロが疑われる1件レビュアー(アカウントを作って1点だけ残したケース)の比率は9.0%にすぎなかった。
合意された人気店と比べると、その差はさらに鮮明になる。合意された人気店に1点を付けたレビュアーのうち、Goldはわずか2.9%である一方、1件レビュアー(テロ疑い)は14.9%で、むしろ好き嫌いが分かれる人気店より高かった。1点テロがより多く起きているのは、好き嫌いが分かれる店ではなく、合意された人気店だった。
| 1点レビュアーのタイプ | 好き嫌いが分かれる人気店 | 合意された人気店 |
|---|---|---|
| Goldレビュアー (50件+, μ 2.5~4.2) | 39.4% | 2.9% |
| 1件レビュアー (テロ疑い) | 9.0% | 14.9% |
| 3件以下 (lowN) | 18.6% | 30.8% |
| 1点レビュー総数 | 5,181件 | 15,603件 |
好き嫌いが分かれる人気店に1点を付けたレビュアーの平均レビュー数は130.5件、中央値は33件だった。彼らはその店だけに悪意を持って1点を残したのではなく、普段から活発にレビューを書く経験豊富な消費者だった。好き嫌いが分かれる人気店の1点は、テロではなく本音というわけだ。
識別力のないレビュー(いわゆる「褒めボット」)の比率も比較した。合意された人気店21.5%、好き嫌いが分かれる人気店22.5%で、ほとんど差はなかった。好き嫌いが分かれる店に操作レビューがより多く集まる現象は観察されなかった。
Goldレビュアー比率
Kakao評価
平均レビュー数
Kakao評価と加重分析スコアのギャップ(rating gap)には差が見られた。合意された人気店はKakao 4.44、Score 4.66でギャップは-0.21だった。好き嫌いが分かれる人気店はKakao 4.06、Score 4.46でギャップは-0.40だった。両グループともKakao評価が加重スコアより低い、つまりKakao評価が実際の価値より低く出る区間に属している。
重要なのは、好き嫌いが分かれる人気店のKakao評価が4.06であることだ。合意された人気店の4.44より0.38点低い。Kakao評価だけで店を選ぶと、好き嫌いが分かれる人気店は目に入らない。評価4.0〜4.2の区間に隠れているこうした店は、Kakao評価だけでは見つけられないのだ。
セマンティック分析でも、好き嫌いの分かれ方の真実味が確認された。「絶賛」と「おすすめしない」が同じ店で同時に現れる比率は、好き嫌いが分かれる人気店で8.7%、合意された人気店で4.8%と、1.8倍高かった。同じメニューに対して、ある人は感動し、ある人は失望する構造である。
好き嫌いが分かれる人気店の肖像
データに表れた、好き嫌いが分かれる人気店の典型的なプロフィールを見てみよう。Goldレビュアーが10人以上いて、σが1.5を超え、それでも人気店判定(WPR 75%+)を受けた店たちだ。
| 店名 | 業種 | Gold | σ | WPR |
|---|---|---|---|---|
| ワ*** | ベーカリー | 20人 | 1.53 | 79% |
| セル*** | バーガー | 25人 | 1.50 | 79% |
| モ*** | ファインダイニング | 13人 | 1.51 | 78% |
ワ***はベーカリーだ。Goldレビュアー20人、σ 1.53、WPR 79%。レビューには「めちゃくちゃサクサク」という絶賛と、「このおじさん、なんでこんなに愛想がないの?」という批判が共存する。味への評価は高いが、サービスで意見が分かれる典型的なパターンだ。
セル***はバーガー専門店だ。「バーガーの中でもトップ3」という感想と、「バンズがちょっとやりすぎ」という意見が同時に付いている。モ***はファインダイニングで、「小さなひと口ひと口に、丁寧さとアイデアを感じて感動」というレビューと、「従来のコースに比べるとやや単調」というレビューが交差する。
3店のセマンティック分析で最も多く指摘された欠点は、「不親切」(合算123件)だった。好き嫌いが分かれる本質は、味が悪いことではなく、個性が強すぎるためにサービスや雰囲気で意見が分かれることとして表れた。味は検証済みだが、それ以外の要素で好みが分かれる構造なのだ。
Kakao評価だけを見ると、これらの店は4.0〜4.1程度で、目立つ高評価ではない。しかし、Goldレビュアーベースの加重分析では人気店と判定される。意見が分かれるという理由で星評価が下がり、その星評価のせいで消費者が通り過ぎてしまうのである。
好き嫌いが分かれる人気店、行く前のチェックリスト
15,935店の好き嫌いが分かれる店を分析して得られた結論はこうだ。好き嫌いが分かれることは、品質の問題ではなく個性の問題だった。操作でもなく、味が悪いわけでもなかった。個性が強すぎるため、ある人にとっては人生最高の店になり、別の人にとっては居心地の悪い場所になるのである。
満場一致で良いと言われる店は安全だ。しかし、誰もが同意する場所で驚くような体験が生まれることはまれだ。好き嫌いが分かれる人気店は失敗する可能性もあるが、当たりだったときの満足度は、合意された人気店を上回ることをデータは示している。